山登ってますか?
山で見る広大な風景をずっと残しておきたいとカメラを持っていく方も多いと思います。自分もその一人。登山で出会う素晴らしい景色を記憶だけでなく記録に残しておきたいと思いカメラ沼に足を踏み入れました。
山で出会う雄大な風景ですが、せっかく買ったカメラに収めてみると、どうも見たままとは違う。どうしたもんか。
空は白飛びするし、逆光で岩の質感が全く見えない・・。
なんてことは登山中の風景ではザラにあります。そしてこんな悩みを解決できる方法にRAW現像があります。今回は山で撮影した写真をLightroomでRAW現像した一例をお見せします。とりあえず四の五の言わずに、色々試してみるが吉だと思います。
森の鬱蒼とした雰囲気と青空との両立
青空と白い雲と、山肌を覆い尽くす鬱蒼とした木々。
登山中に見かける、よくある風景です。これをカメラに収めようとするとどうしてもダイナミックレンジの限界を迎えることが多いです。
雲のディテールをとれば木々が黒つぶれ、木々のディテールをとれば空が白飛びするという、
自分の目が一番のカメラやないか。
といった次第。露出を変えたブラケット撮影をしておいて帰宅後にHDR合成という手もあるのでしょうが、気軽にパシャりたい気分ってあるじゃないですか。
別に写真のために山に登っているわけでもないですし。自分の場合はですけど。
こういった時は白飛びも黒つぶれもギリギリしていない塩梅の写真を一枚撮っておくことが多いです。
下の写真は黒部ダムから黒部別山の南峰方面を撮影した写真。
かなりアンダー目に撮影しています。このままだと「目で見たままと違う・・。」となります。ここでRAW現像の出番です。
RAW現像前の写真では、木々の鬱蒼とした質感や青空に浮かぶ雲の濃淡が死んでいます。それに全体的に色調が暗く、撮影した7月の初夏の日照りや青々とした木々の雰囲気も失われています。この時のRAW現像ではこのあたりを復活させて、見たままの風景を取り戻すことを目的としています。
LightroomでのRAW現像では主に基本補正である露光量・コントラスト・ハイライト・シャドウ・白レベル・黒レベル、外観の明瞭度や自然な彩度を調整して仕上げることが多いです。
Lightroomで色々とパラメータを調整した結果がこちら。
何ということでしょう。青々とした空や雲の質感、山肌を覆い尽くす木々の質感まで取り戻すことができました
日の出の感動を今一度。
ダイナミックレンジにおいて、人間の目に敵うカメラは今の所ありません。登山で最も感動する瞬間は個人的に日の出だと思っています。日の出と共に暖かくなるあの空気感は、太陽の偉大さを感じざるを得ません。
しかしこの感動をカメラに収めようとすると、これまた困ったことに空や日に照らされた山肌は白飛びします。白飛びを防ごうとして露出をアンダーにして撮影すると、今度は影の部分のディテールが失われるという悲しみが襲ってきます。下は黒戸尾根から甲斐駒ヶ岳を経て仙丈ヶ岳に登った時の一枚。
露出に困った時は、ブラケット撮影で数枚撮影しておくないし露出アンダーで撮影しておくと良いとされています(白飛びした部分のディテールは取り戻せないそう)。
というわけで実際の感動とは裏腹に、カメラの性能の限界を垣間見つつ撮影した写真はRAW現像で以下のようになります。この時の現像は恐怖のナイトハイクを乗り越えた後の喜びも相まって、少々彩度をきつめにいじってあります。
自分がしているRAW現像の一例
登山から帰ってきて、とりあえず匂い始めているウェアを洗濯機にぶち込み終わった後に撮影データをパソコンに取り込みます。自分がいじるのは主に基本補正のパラメータ。光芒や降り落ちる雪などの過度な編集(加工)を施さない限り、ここの補正だけで事足りています。
明らかにホワイトバランスの調整がおかしい場合は色温度を調整してやりますが、このパラメータをいじると写真の印象がガラリと変わりますので、あまり触らずじまいになっています。空のトーンや明るさを部分的に落としたい時は、マスクで選択した範囲だけパラメータを調整してやることもたまーにあります。
ここ最近のLightroomのアップデートで追加になったテクスチャの項目。明瞭度は全体のディテールを上げてコントラストが上がりますが、テクスチャは岩肌や木々といった細かいディテールをくっきりさせてくれます。
RAW現像については未だ手探りな部分が多いです。これからも書籍やwebを参考に現像を楽しんでいきたいと思います。Lightroomを手掛けるAdobeが発売するソフトウェアにPhotoshopがあります。こちらを用いた現像は更に1段階上、写真の編集というよりは加工に近いRAW現像ができます。こちらに関しても追々・・。
JPEG撮って出しという考え
見たままの風景を写す。と言った観点や帰宅後のワークフローを考慮すると、現地でカメラのパラメータを調整して、自分の思い描く写真を残すといった方が理にかなっていると思います。
カメラメーカー各々に色の再現性の得意不得意があるらしいので、一概にはおすすめはできませんけれど、JPEG撮って出しという、ある種1発撮りという考えはとても素敵です。
しかし現地でカメラのパラメータを調整して、あーでもないこーでもないと苦心している時間があるなら、その時間を登山に費やしたいと自分は思っています。
とはいえカメラに執心するようになってからJPEG撮って出しを一度もしたことがないので、いずれ試してみる必要がありそうです。
最後まで読んでいただきありがとうございました!