ネット社会の恩恵。難しい登山道でも、パパッと検索をかければ、動画や画像でその登山道について知ることができます。初見の新鮮味がやや薄れるような気もしますけれど、まぁ好き好きでしょうか。ほんとう良い時代になったものです。
まさに世は大公開時代。
しかしいくら知ったつもりでいても、実際に歩いてみるといささかの違和感を抱くことも多いハズ。この違和感とは、言う所の経験値というやつで、実際に体験してみて初めて得られるものでしょう。
それはさておき、今回は八方を登山口に、牛首を経由して五竜岳に登ってきた時の記録です。
知見はあるが経験はない、そんな男が経験した、霧中烈風の五竜岳登頂です。
1泊2日五竜岳登山の日程と諸費用
五竜岳に登山する場合、主なルートは3つ。
- アルプス平から入山し遠見尾根を辿るルート
- 八方アルペンラインを利用し唐松岳頂上山荘を経由するプチ縦走ルート←今回はこのルート
- 爺ヶ岳や鹿島槍ヶ岳から八峰キレットを経由する縦走ルート
などがあります遠見尾根を辿るルートと八方アルペンラインを利用するルートであればゴンドラやリフトを利用して一気に標高を稼ぐことができるので、幾分楽かと思います。
- 9/2 1日目八方尾根・牛首を経由して五竜山荘へ八方尾根は歩きやすい登山道が続くけれど、唐松岳頂上山荘から先は岩場があり要注意
- 9/3 2日目早朝五竜岳に登頂。遠見尾根をたどりアルプス平へ下山終始爆風。そしてガスというか雨というか、とにかくウェットな環境でした・・。
諸費用
大阪から松本間高速バス5700円
ホテル宿泊 2414円
松屋 730円
セブンイレブン 1116円
松本ー白馬駅電車 1170円
白馬駅-八方バス 180円
八方アルペンライン 1610円
唐松岳トイレ 300円
五竜山荘素泊まり 7500円
五竜岳バッジ 500円
アルプス平リフト&ゴンドラ1700円
エスカルプラザカツ丼1500円
タクシー代 840円
十郎の湯+タオル代 750円
松本飯森間電車 1170円
松本大阪間電車 10010円
セブンイレブン 991円
お土産代 2632円
合計40813円
五竜山荘での出費がなければ・・。
五竜岳登山の所感
台風9号の影響により、後立山連峰にある五竜岳の天気予報は徐々に悪化。しかし、悪天候だからといって登山を中止するのは勿体ない。雨だからこそ、強風だからこそ得られる何かがあるはず。それにこの高価なレインウェアは一体何のために買ったんだ。雨風から身を守り進むためだろうがぁ!
てな感じで半ば強行した五竜岳への一泊二日のテント泊登山。宿泊予定の五竜山荘のテント場はほぼ稜線上にあるため、モンベルのステラリッジテントを選択しました。
前夜に松本入り。翌朝の始発便でJR大糸線に乗り込み、着きましては白馬駅。猿倉に行くおじさまとタクシーに同乗しましょうか?と話していたところに丁度八方バスターミナルへのバスがやって来たのでお別れ。あの規模のバスに180円で済んだことには驚きの色を隠せなかった。大丈夫かいアルピコさん。
果たしてあのおじさんは無事猿倉に着いたのかしら。
晴れ間に一喜一憂しながら八方アルペンラインから唐松岳頂上山荘へ。
累計4回ほどお世話になっている八方アルペンライン。現代登山における文明の利器。悪天候でなければ、延々とリフトに乗っていたい。足をぶらぶらできるあの感じが好き。
風こそなかったけれど、八方池山荘に到着した頃にはすでに雲の中に入りかけていたように思います。
登山者と観光客が入り混じる、挨拶するか否か迷う居心地の悪い空気感が何とも苦手。こういう時は基本誰にも挨拶しません。野暮ったいので・・・。
雲の切れ間からチラッと顔を覗かせた白馬岳の山並みと八方池を尻目に、ガスの中到着したのは唐松岳頂上山荘。過去GWでお世話になった時、自分にテント泊を始めるきっかけを与えてくれた思い出深い小屋です。
シャリバテ気味だったことや、この先の難所、牛首に備え唐松岳頂上山荘で暫しの休憩と栄養補給をば。
しっくりこない牛首の岩場とライチョウとの邂逅
自分の中では、どんな岩場でもこなしていくうち、しっくりくる感覚があるのですが、唐松岳と五竜岳を繋ぐ登山道の難所である牛首には、それがありませんでした。
鎖はあるけれど、使い勝手が悪く3点支持で歩いた方が楽なことも多々。あくまで鎖は道標的な存在でした。牛首自体は概ね1時間弱。大黒岳を過ぎ、最低鞍部のあたりで2羽の雷鳥に遭遇。
流石悪天候の使い魔。
けどやっぱり可愛いんですよねー。
霧中の五竜山荘と張れないテント
最低鞍部というだけあって、ここからは緩やかな登りが白岳まで続きます。白岳では、またもや悪天候の使い魔ライチョウと遭遇。今回の五竜岳登山、ライチョウには恵まれていました。
五竜山荘は五竜岳から往復2時間程度の場所にある山小屋。今回はこちらでテント泊をしようと思いステラリッジを担いでやってきたのですが、設営を始めたところで思わぬ出来事が。
ショックコードが…伸びきっておる。
色々と試行錯誤を繰り返しましたが、とある致命的なミスを侵してしまい、あえなく撃沈。やむなく五竜山荘での素泊まりをお願いすることになったのです。テントポールは盲点でした・・。
一瞬だけ、本当に一瞬だけ、五竜岳の山肌を垣間見ることができたので良しとしましょう・・。
爆風の五竜岳登頂と終わらない下山
今までの自分であればきっと撤退を決め込んでいたのでしょうが、
悪天候に備えてレインウェアを購入したのに、毎回撤退するのはどうなの。ここまでの苦労と決して安くない費用はどうするの。という思いが強く、昨日と変わらない爆風と強くなった雨の中五竜山荘を出発。
五竜山荘から五竜岳までは岩場や鎖場のある登山道。状況にもよりますが、今回のような悪天候の中安易に登頂を目指すのは危険だと思いました。
トラバースする登山道だとさほどなのですが、ひとたび稜線にでると身体が持っていかれそうになる、本当に爆風でした・・。
五竜山荘から五竜岳までは概ね1時間程度で到着。日の出の時間になりガスには若干の青みとオレンジが見え隠れしたので、あわよくば八峰キレットや立山方面の展望がひらけるかも・・と思ったけれど結局何も見えませんでした。まぁ展望は見えないだろうと予想していたので、そこまでショックではありませんでした・・。はい・・。
五竜岳のこの日の天気予報は午後にかけて下り坂。展望もないだろうと思い五竜山荘に戻り小休止した後は遠見尾根からの下山を開始しました。五竜山荘から遠見尾根を経由しアルプス平まではコースタイムで約4時間30分程度。
大遠見までは割と鎖場も多いので要注意です。登山道自体は似たような尾根沿いの道がアップダウンを繰り返しながら続きます。きっと晴れていれば展望が良いのでしょう・・。ガスの中だと同じような道は精神的に参ります・・。
展望もないので、それはそれは早い下山でした。(笑)
五竜岳から下山後に入浴しようと考えていたエスカルプラザ五竜の龍神の湯は、8月末で営業を終了していました。ちょうどエスカルプラザに待機していたアルピコのタクシーに乗り込みJR大糸線飯森駅近くにある十郎の湯へ。いい湯でした。
天気に恵まれない後立山連峰。五竜岳へも再訪を誓う。
自分の登山史上、後立山連峰への登山ではほぼ毎回悪天候に見舞われます。立地的なものもあるのでしょうが・・。針ノ木岳や爺ヶ岳、そして鹿島槍ヶ岳に続き今回の五竜岳までも・・。
若い内に八峰キレットは踏破したいと考えているので、次は晴れた日にお邪魔しましょうかねぇ・・。
ではまた。