歓喜と憎悪とが渦巻く槍ヶ岳山頂

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台風10号が直撃した2019年のお盆。短い山の夏は既に終わりを告げ、秋へと足を踏み入れんばかりです。

登山ですれ違った見知らぬ男性、テント場で言葉を交わした女性は、今年どんな山行を楽しんだのでしょう。山頂からの絶景で心は満たせたのでしょうか。

そんなことは置いといて今回は、日本国内の登山界隈でトップの人気を誇るであろう北アルプスの象徴、槍ヶ岳で毎年渦巻いているであろう渋滞問題についてのおはなし。

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毎年ごった返す夏の槍ヶ岳

槍ヶ岳を取り巻く混雑の根源

登山初心者がまず目指すのはやはり北や中央、南のアルプス界隈。これらの山域はその雄大かつ明媚な風景を楽しめることや、いろいろなメディアで取り上げられることも多く、日本の登山文化の中枢といっても過言ではありません。そしてこの3つの山域の中でも、公共交通機関を使ったアクセスが容易であり、下山後の温泉・食事・観光の3拍子が揃っているという観点から、人気が最も高いというか、登山人口が集中するのが北アルプス

困ったことです。

そして北アルプスの中でも「初心者向け」と言われる燕岳や常念岳といった常念山脈の山々からは、必ず槍ヶ岳の姿が望めます。このため槍ヶ岳は次の目標として設定され易く、上高地という登山基地的観光地の存在がそのアクセスを更に容易にしています。

槍ヶ岳山荘

更に初心者を脱した頃(何をもって初心者とするかは個々人に任せます)に経験し始めるのが登山の楽しみの一つである「縦走」。自分が立つ山頂から見えている山々を練り歩く、初心者の憧れです。ここで縦走路として名高いのが、やはり北アルプスの表銀座や裏銀座といった槍ヶ岳を最終到達点とする縦走路

毎年飽きることなく各登山誌では、夏山シーズンになるとほぼ必ずこの縦走路を紹介します。

そんなメディアの影響も相まってか、槍ヶ岳の天を貫かんばかりの「槍」のフォルム、その槍に向かって名だたる山々を越えていくまさに華やかな「銀座」的縦走路は、毎年多くの登山者をたたえています

登山道的にも旅の終焉になりやすい槍ヶ岳

槍ヶ岳からは東西にそれぞれ鎌尾根と呼ばれる尾根が伸びています。東鎌尾根は表銀座縦走路をはじめとした常念山脈と、西鎌尾根は裏銀座縦走路をはじめとした黒部源流域の山々と槍ヶ岳とを、それぞれ繋いでいます。

槍沢方面

そして南北にはそれぞれ初心者にはハードルの高い、玄人向きの北鎌尾根、南岳を経て北穂高岳へと続く大キレットへ続く尾根が続いており、こちらも先述の西・東鎌尾根と併せて槍ヶ岳へと登山者を終結させる要因になっています。

縦走は槍ヶ岳で終焉を遂げ、翌日は槍沢を経て上高地に下山するだけ。というある種普遍的な、ゴールデンプランがきっと出来上がっています。上高地へ行けば、温泉から食事まで一通りは満たすことができますし、上高地に至るまでの徳沢や明神でも疲れた身体に美味しい甘味が待っています。

毎年縦走を終え、河童橋から見る穂高連峰に別れを告げまた来年。

といった方も少なくないのでは・・。

山が賑わうこと自体は嫌いではない。

別に槍ヶ岳をはじめ北アルプスや他の山域が人で賑わうことは嫌いではありません。むしろ登山中の出会いは素敵なことが多いので、大事にしていきたいと思っています。

それに登山文化が発展することは良いことだと思っています。

ただ安全面やマナーの観点からは、無闇矢鱈に誰しもが登ってこられる環境はやや懐疑的な意見をもっているというか、どうしたってマナーを逸脱する連中が必ず生じている現状には、怒り心頭です。

そこのけそこのけ、次の登山者が参る。

槍ヶ岳へ続く登山道は主に2つ。1つは槍ヶ岳へのクラシックルートである北鎌尾根。もう一つが問題の槍ヶ岳の肩、槍ヶ岳山荘あたりからの登山道。というか岩登りです。

前者については言わずもがな登山者の数は圧倒的も少なく、槍ヶ岳にたどり着くまでは渋滞は気にならないと思います。

問題は後者。最もポピュラーで人の渋滞が発生するルート。頂上へのルートが2本に登り・下りの2つに集約されてしまうので必ずと言っていいほど渋滞が発生します。

渋滞の発生ならまだしも、場所は槍ヶ岳頂上への岩稜途中。平地で休憩できることなどほとんど無く、上から岩が、人が、ものが降っていこないかビクビクしながら槍ヶ岳登頂を待つことになります。コンディションとしては最悪です。

山頂でおちゃらける集団。

数年前でしたか、槍ヶ岳山頂を数十人の集団で占領して騒ぎ続けたみたいな事例が発生しました。

まぁ早稲田に限らず毎年槍ヶ岳山頂では、どこぞのウェーイ系の大学生なんぞが周囲の登山者に迷惑をかけ続けているわけです。日本の大学生に対するイメージが悪すぎる

大体そういった連中の中にも、周りの目を気にしている子もいるのですが所詮言い出せないまま。同調圧力に押され、そのまま延々と他の登山者を尻目に槍ヶ岳山頂を乗っ取り続けます。どういった育ち方をし、教育を受けてきたんでしょうか。彼ら。

殺生ヒュッテからの槍ヶ岳

周囲の登山者はというと、山頂までのストレス、そしてこの渋滞の原因はこいつらか。という苛立ちから殺気だっている方もちらほら。自分もその中のひとり。大人になってイライラしやすくなってしまいました。

まさに槍ヶ岳山頂は登頂の達成感に混じって、歓喜から苛立ち・殺気が入り混じったなんとも言えない空気になっているのです。

この夏槍ヶ岳へ登ったそこの君。登ろうとしているそこの君。女の子の前ではしゃぐのも分かるけれど周りを見てみろ

落とすぞ。

と注意喚起しておきましょう。

混雑を避けるなら日の出前。

案外日の出前というのは日中に比べると登山者の数は少ない傾向にあります。特に槍ヶ岳では山頂ではなく槍ヶ岳山荘前でご来光を眺める方が多いような気がします。

変にはしゃぐ子達への苛立ちからも開放され、ただただ日の出を槍ヶ岳山頂で待つ。

日中に変に滑落や落石などのストレスを感じるよりも、人が少ない日の出前等に登ることをおすすめします。

最後に。人のふり見てなんとやら。

まぁ登山中に苛ついても決して背中からどついたりすることはきっとありません。犯罪ですからね。

むしろこういった連中を反面教師に自分の振る舞いを考えるきっかけにすることができるということは、むしろ感謝すべきなのかも(爆)

若者に限らず、どの年代にもたちの悪い連中が必ずいます。高齢だからといって人徳があるか。といえば決してそんなことはない、むしろヒトとしての卑しい根っこの部分が露呈してきています。変に知恵をつけているため、何なら若者よりも厄介です。

 

歯槽膿漏ですね。

そんな連中に対しても、一登山者として受け入れ真摯な対応をしなければならない山小屋スタッフの方々の苦悩や苦労は本当に恐れ入ります・・。

今回はなんだか愚痴っぽくなりましたね。日々何かしらの不満をいだいています。笑

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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登山コラム
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