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高山病の原因と症状、そして対策について。現役ナースがまとめてみた。

登山コラム
この記事は約5分で読めます。

本格的な夏の到来。
新しく登山を始めてみよう、富士山に登ってみようかという初心者の方も多いでしょう。ド直球ですが、本当に登山は良いものです(語彙力はどこへ)。是非とも楽しんでください。

登山について調べていると、「レインウェア」や「登山靴」等の必ず目にする文言の中に「高山病」も挙がると思います。
それとなーく症状や対策は分かっているけれど・・。なってしまったらどうしよう・・。

と言う方が多いはず。

出自か分からないネットでの有象無象の情報も良いのでしょうが、医療者からすると正味根拠性に欠ける箇所が多いのです。怒り心頭です(医療ドラマ然り)

根拠が分かっていないのに、効果的な対策をとることができる。というのは大きな間違いだと思うので、この際ガチ目に高山病の原因や症状、対策について解説してみようと思います。

男女差は?対策は?と興味のある方、これから登山を始めようという初心者の方。
そして登山者の約4割を占めるとされる60歳以上のハイカーの方には特に読んで頂きたい。

まずは言葉の定義から。高山病とは何ぞや。

高山病という病名は無く、正しくは急性高山病(acute mountain sickness)といいます。略してams。えいえむえすとでも、あむすとでも呼んでください。ここでは便宜上、高山病のままで説明していきます。
高山病とは生体が高地の環境(低酸素・気圧の低下)の環境に晒された結果、環境に適応できず様々な症状を呈する状態とされています。

要するに

登ったは良いけれど、身体がお山の環境(低酸素)についていけないよぉ。

といった感じ。酸欠状態ですね。

高山病は概ね2500m以上の標高に達した際に症状がでることが多いと考えられています。

性別や荷物の重さ・登山の経験と発症頻度の関連はないとされており、標高が高ければ高いほど。登るスピードが速ければ速いほど重症化する傾向にあります。

高山病の発症には個人差があり、遺伝的素因が関与すると考えられているようです。
また重症化した場合、HACE(高地脳浮腫)やHAPE(高地肺水腫)へと移行する可能性があります。がしかし、これらの発症は相当稀というかこの項では過剰かと思うので説明は省略します。

発症のメカニズム

標高の高いところでは酸素が薄い。

小学校の内にきっと誰もが学んだことでしょう。イメージとしては、空気の密度が下がる分酸素の密度(濃度)も下がるといった感じ。
これに伴って人体では血中の酸素濃度が低下し、低酸素血症という状態に陥ります。

これが俗にいう「酸欠」状態です。

身体ではこの酸欠状態を脱しようと、呼吸を早く(換気量の増加)するなど色々と調整が行われます。記憶に訴えかけるのであれば、これをホメオスタシス(恒常性)といいます。覚えてましたか?(笑)

身体の調整の甲斐なく酸欠状態が持続すると、身体では諸々の反応(体液貯留・血管透過性の亢進等々)によりむくみ(浮腫)や頭痛(手足など末梢血管の収縮→中心血流量の増加→脳圧の亢進)等、いわゆる高山病の症状をきたすようになります。

 

よくみられる症状とは?

主な症状として頭痛、消化器機能の低下に伴う食欲不振吐き気嘔吐・おなら(放屁)の増加、全身倦怠感めまい睡眠障害等があがります。

一つ注意点。これらの症状は高山病だけではなく風邪や脱水・疲労の蓄積などの影響でもみられるという点があります。

高山病はこんな人がなりやすい。

まずは高山病の発症頻度を知りましょう。
槍ヶ岳や甲斐駒ヶ岳など、日本を代表する山々の標高は概ね1900~3000m程度。この標高であれば、発症頻度は約25%と言われています。

高山病の発症が4人に1人という数字を考えると、決して少なくない数字ではないでしょうか?
グループ登山をしていれば1人以上は高山病として何らかの症状を抱えていることになります。

そしてなりやすい人の特徴を以下に挙げます。

BMI・体重が高値(肥満)、50歳未満
高山病の既往、運動不足、喫煙習慣、アルコールや睡眠薬の摂取

ざっと見たところ、健康的な生活を送っていれば憶する事のないようにも思えますね。とはいえ油断は大敵。明日は我が身です。

 

高山病になったらどうすべきか。

対策については以下をご参照くださいな。現実的なものを挙げています。

その場に留まって高地順応を待つ。

この道を行けばどうなるものか、危ぶむなかれ。危ぶめば道はなし。踏み出せばその一足が道となり、その一足が道となる。迷わず行けよ。行けばわかるさ。

はい行かないでください。
絶対にやめてください悪化します。山で根性論は自殺行為です。治ったとしても自慢しないでください。

高山病の対策で最も重要な点。それは高度を上げない事です。富士登山などで発症する高山病は軽症であることが多いようで、その場に留まって十分な休息や水分補給が基本となります。

下山する。標高を下げてみる

最も確実な治療法は高度を下げること。個人差がありますが、おおよそ300~1000m程高度を下げることで症状の改善がみられることが多いようです。
万一の事を考えて、誰かと共に下山することを心掛けてください。

酸素の効果はあるのかという問題。

某アウトドアショップに行けば必ず売っている酸素。果たして高山病予防に効果はあるのか。

結論からいいましょう。症状は改善します。

しかしその効果は一時的なものです。
メカニズムをみればわかる通り、高山病の原因は酸素不足ではなく、酸素不足に順応できなかった身体にあります。

つまり身体が順応しない限り、いつまでも高山病の症状は持続することになります。
持続的に酸素投与が可能(平地と同じ酸素濃度)であれば、身体をだましだまし登ることもできるのでしょうが、もちろん現実的ではありません。

酸素投与により、身体が高所の環境に順応するといった根拠はないのです。

症状の改善を図りながら、下山するのには有効かもしれませんね。

予防のためにできること。

言いたいことは3つ。

  • 普段から健康管理を怠らない。
  • ゆっくり登ろう。
  • 呼吸を整えよう。

これだけです。

身体が常にベストコンディションで、かつ高地順応できることが何よりの高山病予防です。
ただでさえ酸素の薄い登山中。呼吸が荒くなると過換気の状態となっているため、意識的に呼吸を整えて、深呼吸を心掛けることが何よりも重要です。

普段から頑張ってくれている身体の事を少し気にしつつ、気軽に安全に。そして何より、楽しく登山を楽しんでください。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

 

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