2年前の燕岳登山を機に計画が始まった表銀座縦走。
コロナだったり、日程だったり、天気が合わなかったり。色々な理由で流れに流れていたけれど、今夏ようやく完遂。
完遂。と書いているものの、悪天候だったりで行程通りに進まなかったり、連日寝坊が続いたり。辛いこともあったのだろうけれど、過ぎてしまえば全ては良い思い出の一つ。
これで一旦、妹と見た表銀座縦走の夢はおしまい。
当初の表銀座縦走計画と実際
今まで2人でした登山のコースタイムや年齢も考えて、一泊目を大天井岳、二日目を槍ヶ岳、三日目に上高地まで下山という、表銀座縦走ではポピュラーかつ健脚向きとされる行程で挑む予定に。
折角の表銀座縦走ということで、テント泊で縦走する計画にしていた。
しかし蓋を開けてみると初日から悪天候と妹の体調不良により、1泊目は燕山荘に宿泊せざるを得なかった。この日の遅れを取り戻すかどうかで。燕山荘内でプチ会議が開かれたのは言うまでもなく・・。
中房温泉に下山するか、大天井岳まで登って常念岳方面に抜けるか、予定通り槍ヶ岳山荘を目指すか。
下山口やエスケープルートは省くけれど、だいたいこの3案に絞ることになった。
実際のところ、翌日以降天気は劇的に回復。
1日目に燕山荘、2日目に槍ヶ岳山荘、3日目に徳沢でキャンプをし、4日目にまったり上高地へ。という行程になった。
ひと夏の表銀座縦走
すべてを濡らしながら合戦尾根をたどり、燕山荘へ
日本付近を停滞していた前線の影響が当初よりも長引き、初日の天気は雨。中房温泉を発ち、燕山荘に至るまでも延々と雨。
「レインウェアの本領発揮やで。」
と喜び勇んでいた妹は、第2ベンチを過ぎた辺りで急にペースダウン。濡れているのが雨のせいなのか、汗のせいなのか分からない不快感を抱えながら燕山荘に着いたのは、11時ごろ。
合戦小屋のスイカというチートがなければ、もっと時間がかかっていた…。
黒部源流域の山並みは勿論、燕岳の展望は皆無。
妹のバテ具合と天候を考えて、大天井までの登山は危険だろうということで、初日は燕山荘で小屋泊することに。
すでに表銀座縦走への夢は潰えようとしていた。
ただ嬉しいこともあるもので、ちょうど燕山荘が100周年のアニバーサリーイヤーだったらしく、記念の手ぬぐいを貰えたので良し。
小屋内で爆睡する妹を横目に、2日目以降の行程を考えるのに躍起だった。
劇的な天候回復。燕山荘から槍ヶ岳山荘へ。
妹の体調は戻ったようで、会話の中でも槍ヶ岳への思いが見え隠れ。
そんな兄を悩ませるやる気とは裏腹に、結局午前四時ごろまで雨は降り続けていて、燕山荘を発った時も周囲は霧に覆われていた。
両者に漂う下山ムード。
しかし歩いている内に心配していた天気はみるみる回復。蛙岩を超えたあたりから、遠くの山並みや大天井岳が顔を出すように。
昨日の天気とのギャップも相まってとにかく気持ちが良かった。早朝の杞憂はどこへやら。兄弟2人とも、ニヤニヤしながら稜線歩きを楽しんだ。
妹は昨日のノックアウト具合とは裏腹に、元気100倍アンパンマン。
ただ元気が戻ってきたとはいえ、予定通りのルートで槍ヶ岳山荘を目指すには長い行動時間と体力・集中力が必要。
切通岩を過ぎた大天井岳の分岐で進退を決定することにした。
分岐での話し合い・じゃんけんの甲斐なく、結局憧れと天候の勝ち。妹念願の槍ヶ岳を目指すことに。
ビックリ平は何にびっくりするのか分からなかったり、西岳への登りで再び妹がバテバテになったり。休憩と補給の重要性を身を以て感じつつ、だいたいのコースタイム通りにヒュッテ西岳に到着。
ヒュッテ西岳の小屋番の方からは「東鎌尾根の冒頭は特に要注意です。」とありがたいアドバイスを頂戴。確かに東鎌尾根冒頭の下りは、表銀座縦走路でも特に気を使う危険箇所だった。
槍ヶ岳直下よりもおっかないのでは・・・。
個人的には登山道の危うさよりも、同行者である妹が滑落をしないかと肝を冷やしていた。お互いに注意喚起をしいしい、無事に水俣乗越の分岐へ。
随分と大きく成長した槍ヶ岳を目の当たりにしつつ、気になっていたのは雲が分厚くなってきていたことだった。SCWでは発雷確率は無かったけれど、やはり行く先が暗雲なのはメンタルに来る。
アップダウンを繰り返し、ヒュッテ大槍に安堵し、結局槍ヶ岳山荘に到着したのは16時ごろ。目前で小雨に降られたけれど、短時間で止んでくれたのが幸い。
槍ヶ岳山荘で迎える夜明け。一路徳沢園へ。
尻を撫でる強風と、周囲のテントのはためきで眠りの浅い兄を尻目に、妹は深い夢の中。同じ血を分け合ったのに、こうも違うか。
夜明けと共に風は収まっていって、モルゲンロートの表銀座縦走路や西鎌尾根から続く双六岳、遠くは白山までも一望できた。
肝心の槍ヶ岳山頂アタックも先日の東鎌尾根での訓練が功を奏したようで?怖いながらも無事に登頂。念願だった表銀座縦走も終わりを迎えようとしていた。
うーんセンチメンタル。
後は黙々と本日の目的地、徳沢園を目指すだけだった。
道中救助ヘリが巻き上げた花粉(きっとよもぎ)で2人とも鼻炎に悩まされたり、炎天下でへばったり。天気こそ良かったものの、下るだけというのはやはり、面白みに欠けていた。
昨日までたどってきた縦走路と比べると、刺激の少ない、長すぎるエピローグだった。
徳沢園でのひととき。
徳沢園には14時ごろに到着。
先に上高地から来てまったりしていた母と合致し、3人でキャンプ。念願の徳沢園でのキャンプ。予想以上に快適で、紅葉の時期にでも再訪したいと思った。
ここでの1番の感動は、徳沢園でレンタルテントをした場合、徳沢ロッジでの外来入浴ができることだった。予想の1日早く人間に戻ることができて、美味しいソフトクリームを食べ、
無事に今回の表銀座縦走は終了。
表銀座縦走の反省というか、オチ。
ということで無事に終わった表銀座縦走。個人的には対した筋肉痛もなく、月イチの低頻度の登山でも、日頃のトレーニングの重要性をひしひしと体感。
妹は今回の表銀座縦走を期に、筋トレとランニングを始めたそうな。
今回の表銀座縦走で思うこととしては
- 「若さ」があったから完遂できた感
- 軽さは正義(特にカメラ)
- 稜線でのステラリッジの信頼感すげぇ
- 縦走の場合は特に、日頃の体力作りはマスト
- 栄養/水分の補給頻度と方法については一考の必要あり
- ザック内の荷物の防水処理の見直しをば。
- 大天井岳・・。
といったところ。2泊3日も北アルプスにいたのに、登ったのは槍ヶ岳のみという、なんとももったいない気持ち。
残念だけれど、まぁ仕方ないね。
楽しかったので良き。
今後の登山の糧になるんだで。
ではまた。