テントの結露を拭い取りながら、家で帰りを待つあの子に思いを馳せてみたり
夜が明けきらぬブルーアワーに歩きだす時に感じる背徳感だったり
夜明けが近いことを色と肌で感じるあの高揚感だったり
快晴の空の下を気持ちよく歩いていると、なぜか職場の事が気になったり
どこかに雷鳥でもいないかな。まさかクマなんて出ないかしらん。なんてドキドキしてみたり
結局シカかよっ!て安心してみたり
持ってきたおやつが案外美味しくなくて、がっかりしてみたり
立ち寄ったトイレが、この世のものとは思えない臭気を発していたり
急にガスってきて、「あれれー?」と天気予報を確認してみたり
いつもソロで登っているのに、一人でいるのが無性に心細くなり、家が恋しくなったり
見も知らぬお隣のテントの住人と、おやつを分け合ったり、コーヒーを分けてもらったり
夜中トイレに起きてみると、満点の星空が拡がっていたり
無邪気に星空撮影を楽しんだ結果、朝まで寝れなかったり
帰りのバスでも、なぜか一向に寝れなかったり
こんな色々が、そんな山での諸々が、今となってはとても恋しいのですよ。