カナダ発のアウトドアブランド アークテリクス。アウトドアの過酷な環境を想定して作られた製品はどれも高性能・高品質。そしてデザイン性も兼ね備えており、アウトドアだけでなくタウンユースでも見かけることの多いブランド。
今回はどのアウトドアメーカーの製品も中途半端に揃えてきてしまった自分が
「アークテリクス製品で揃えてみたい」
と思った時につまづいた、ネーミングの分かりづらさを改善するために作成したアークテリクスのまとめ的なものになります。
最終更新日:2020/12/23(イブイブというのは昭和生まれらしいですよ。)
とりあえず分かりづらいアークテリクス製品の分類
アークテリクス製品の敷居の高さの一つに製品のカテゴライズが分かりづらいことが挙がります。
「見慣れない」
ことが一番の原因だと思いますが、確かにアークテリクス製品のネーミングは分かりづらいの一言に付きます。セリウム?アトム?鉄腕?
とりあえずチンプンカンプンです。
ここでアークテリクスの製品名の例を挙げてみましょう。
ー超軽量、収納可能で防水性のあるゴアテックス緊急時用シェル、ハイキング向け。
ゼータシリーズ:ハイキングトレッキングウェア | SL:Super Light(超軽量)ー
この製品名をカテゴリー毎に分類するとこうなります
これで多少わかりやすくなったと思います。アウトドアウェアの中でも特に高価なアークテリクス製品。「思っていたのと違った・・」なんて悲しい後悔の無いよう、カテゴライズからみていきましょう。
ちなみにアークテリクスの製品はアウトドアメーカーの中でも比較的高価格。公式で買う安心感もありますが、楽天なら公式に出回らないアウトレットやお得な価格でアークのウェアを購入できます。
アクティビティ別6つのコレクションと製品カテゴリー
アークテリクスではアクティビティごとに「コレクション」と題された6つのカテゴリー、そしてアルファやガンマ、ベータと言った製品カテゴリーがあります。購入する時の目安になるのは、大まかにこの2つのカテゴリーからなると思います。
また、商品名では製品カテゴリーの後ろにARやLTといった表記が続きます。コレは大まかに素材の耐候性や重量を表しています。フィット感や細部のデザインが違ってくることもあり、アークテリクスの商品を選ぶ上で悩む点の1つです。
これから製品カテゴリ−毎の特徴と、これらサブカテゴリーの種類・それぞれの重量を記載していきます。
()内の重量はすべてメンズでの重量ですのでご注意下さい。
製品カテゴリー
アークテリクス製品でよく耳にするα(アルファ)やβ(ベータ)といった製品カテゴリー。製品を探す時はこの製品カテゴリーがひとつの目安になります。この中でも特に登山でニーズがあるであろうカテゴリーをピックアップしていきます。
まるで戦隊モノのような響きです。各製品カテゴリーごとにアウトドアでの使用場面が想定されています。
アルファ(α)ー過酷な環境に適したアークテリクスが誇るフラッグシップー
アークテリクスといえばコレとっても過言ではないラインナップ。
アルパイン&クライミングでの使用を想定してデザインされたシェルジャケットです。GORE-TEXProが使用されており、アークテリクスのシェルジャケットの中でも最も値が張るラインナップです・・。
ラインナップはアルファSV(490g)、FL(315g)、AR(400g)の3種類(パンツはARのみ)となっています。FLだけトリムフィットとなっている点にご注意。アルファFLは8年連続でハードシェル部門でエディターズチョイスに選出されるなど、海外では高い評価を得ている製品となっています。
ベータ(β)−冬山から夏季クライミングまで。マルチにこなすレインシェル−
2000年に発売されてからアークの代名詞となった製品カテゴリ。
アークテリクスのシェルで最も汎用性に富むとされているベータシリーズ。こちらもGORE-TEXProが採用されているものもあり、夏場ならレインウェアとして、積雪期であればハードシェルの代わりとして使うことができるでしょう。
タウンユースで最も選ばれているのはおそらくこのカテゴリー。LTから上のクラスはGORE-TEXProが採用されており、街で着るには完全にオーバースペック。そしてGORE-TEXProはどうしても携行性に劣るため、SVやARは冬用のハードシェルに似通った使い方になるかと思います。
ラインナップはベータSV(485g)、AR(455g)、LT(345g)、SL(360g)の4種類。
SLはハイブリッド生地となっており、着心地が良いとのことです。また、SLと謳っているけれどLTの方が軽いというトラップが仕掛けられています。ARのみ内襟がついたフードになっています。
めちゃ格好いい。
SV、ARは冬季のレイヤリングを想定しているためレギュラーフィット、LTとSLはトリムフィット。通年の仕様を想定する場合はレイヤリングで嵩張ることを考慮してARかSVが選択肢になるかと思います
シェルジャケットは基本的にすべて大きめの作りです。特にLTとSLにはXSサイズが無かったりします。購入を検討している方は今一度サイズ展開の確認をするべきかと。
パンツはSV(655g)、AR(515g)、SL(355g)の3種類。SVはビブパンツ型です。すべてレギュラーフィット。
デルタ(Δ)ー春秋の肌寒い季節に活躍する、薄手のインサレーションウェアー
上記2つと違い、こちらはフリースです。
春秋に特に重宝する薄手の保温着は登山でのレイヤリングにバッチリ。個人的に一枚所有していますが、使いやすいシリーズです。
積雪期に使用するには少々薄手すぎるので、カイヤナイトシリーズかコンシールフーディの検討をおすすめします。
ラインナップはLTとMX。
LTはフーディ(285g)とジャケット(265g)、ジップネック(220g)の3種類、MXはフーディ(356g)とハーフジップフーディ(330g)。
MXに関してはバラクラバやネックゲイターとしても使えるフェイジックARパネルを備えています。個人的に2020年度の冬山で試してみたいウェアの一つ。
しかしフード渋滞はレイヤリングでの由々しき問題ですな。
ガンマ(Γ)ーどんな環境にも適度に対応するアークテリクスのソフトシェルー
耐候性と伸縮性に優れたミッド・アウトレイヤー。いわゆるソフトシェルという分類です。ゴアテックパーテックスなどの防水透湿素材には劣るものの、表地はDWR(耐久撥水加工)があるため小雨程度であれば防ぐことができます。
またMXには裏地にフリース素材が採用されているのでミッドレイヤーとしても十分な保温性が期待できます。摩擦に強いソフトシェルは気軽に使いやすいですが、防水性は少雨に耐えられる程度と重量面からも色々と中途半端な器用貧乏といった印象です。
しかしゼータやアルファ、ベータなどのシェルジャケットと違って体型にフィットする綺麗なデザインで普段使いしやすいのはガンマシリーズの魅力の1つ。
本当にアウトドアウェアをタウンユースに使うのであれば、買うべきはこのジャケットだと個人的に強く思います。
ガンマLTは権威あるoutdoorgearlab(リンク先は英語)の2019年度ソフトシェル部門でエディターズ・チョイスに選ばれるなど、高い評価を得ています。
個人的に最も気になっているのはガンマシリーズ。
ラインナップはMXフーディ(565g)・ジャケット(485g)、LTフーディ(545g)・ジャケット(445g)、SLアノラック(295g)、SLフーディ(290g)の6種類。どれもレギュラーフィットです。SLのカラーラインナップが美しい。
パンツはMXとAR(490g)およびLT(350g)の3種類。素材をみてもMXとARの違いがイマイチわかりませんでした。
ロー(ρ)ーストレッチ性に富み、秋から春まで活躍する厚手のベースレイヤーー
アークテリクスから発売されているベースレイヤーのひとつ。ARであればポーラテックが使用されていたり、どちらかといえば秋〜春の低気温下での使用を想定されているラインナップ。手袋やニット帽、バラクラバにもローの名が着いており、肌触りがとても良いです。
ラインナップはARジップネック(280g)とLTジップネック(225g)・フーディー(215g)の3種類。ベースレイヤーで全てトリムフィットです。体型がモロに出ます。ボトムはAR(220g)の1種類となっています。
シグマ(Σ)ーミニマルデザインで通気性に優れ、ダイナミックな動きに注力して作られたクライミング、アルピニズム用ソフトシェルー
先述のガンマよりも薄く軽量なソフトシェル。昔はアノラック等トップスの販売もあったようですが、現在公式サイトにはパンツのラインナップしかありません。
ラインナップはAR(480g)とFL(370g)の2種類。どちらもトリムフィット。
ゼータ(Ζ) ーハイキングやトレッキング用の軽量レインシェルー
一般的なレインウェアにあたるのはこのカテゴリ。アルファやベータに比べるとハイキング向けということもあり、止水ファスナーの違いなどからみると比較的安価です。あくまでアークテリクスの中では・・ですけれど。
ラインナップはAR(425g)、LT(335g)、SL(310g)、FL(205g)の4種類。すべてトリムフィット。FLのみ他と違い100gも軽量です。
ゼータSLについては汎用性と軽量性のバランスや、GORE-TEXpacliteplusが提供する通気性と防水性のバランスの良さから2019年度のoutdoorgearlabエディターズチョイスに選ばれています。迷った挙げ句自分はこれを購入しました。
アトムー高い耐候性を持つ、アクティブインサレーションー
アークテリクス社員が全員持っているらしいアトムシリーズ。本当に使いやすいです。
保温性に優れた化繊のインサレーションウェアです。内包されるコアロフトの量に応じてAR、LT、SLの3種類が展開されています。DWR 加工の Tyono™ が採用されており耐候性もそれなり。自分もLTフーディーを購入して2年ほど経ちますが、便利すぎて秋から春の出勤には毎回これを着ています(着替えろ)。
ラインナップはARフーディー(470g)・ジャケット(420g)、LTフーディー(415g)・ジャケット(315g)・ベスト(220g)、SLフーディー(260g)・ベスト(155g)の7種類。まさによりどりみどり。自分のニーズに応じて選びやすいと思います。
ARのみレギュラーフィットになっており、レイヤリングを考慮するとトリムフィットのLTあたりが使いやすいと思います。
プロトンー外側表面に耐候性と耐摩耗性を備えた、通気性のあるインサレーションウェアー
外見はややアトムと似通っています。大きな違いは主に素材の耐久性。プロトンの方が耐摩耗性に優れた素材が使用されており、アルパインなどで使用するのであればプロトンの方が安心かと思います。保温性はアトムの方に分があります。
ラインナップはプロトンLTフーディー(375g)・ジャケット(340g)、FLフーディー(320)の3種類。こちらもFLは春夏の行動着程度の薄さです。
セリウムー軽量性と保温性を兼ね備えた量ダウンインサレーションー
アークテリクスのダウンインサレーションにはセリウムとソリウムの2シリーズが展開されています。保温性と耐摩耗性に優れるのがソリウムシリーズ、軽量性と保温性を両立したのがこのセリウムシリーズとなっています。袖口や脇下など濡れやすい部分にはアトムでも使用されてるコアロフト合成繊維が配置されているなど、価格に見合うクオリティです。
ラインナップはセリウムSVフーディー(415g)、LTフーディー(305g)・ジャケット(280g)・ベスト(185g)、SLフーディー(215g)・ジャケット(200g)・ベスト(125g)の7種類。SVのみレギュラーフィット、ほかはトリムフィットとなっています。
ソリウムー丈夫さと暖かさを提供する、多用途のダウンインサレーテッド・ミッドレイヤー。軽量構造ー
セリウムよりも嵩張りますが、その分耐候性に富むソリウムシリーズ。タウンユースならこちらの方が気楽に使えます。セリウムシリーズと同様、こちらも袖口など1部分にコアロフト合成繊維が採用されています。
ラインナップはソリウムARフーディー(490g)・ジャケット(435g)の2種類。どちらもレギュラーフィットです。
想定される6つのアクティビティ
こちらは流し見程度で良いと思います。
アークテリクスのウェアは製品ごとに使用場面が想定されカテゴライズされています。カテゴリーは以下の6つ。汎用性に富むアークテリクス基本装備が一番使いやすそうです。
購入するときの1つの参考にどうぞ。
アークテリクスの製品の購入を考えるとぶち当たるサイズ問題
アークテリクスの公式サイトはシェルやインサレーション、ベースレイヤ−毎に分類してくれているページがあります。僕のように全身アークテリクスで揃えてみたいという場合、こちらのページがとても便利です。
気になるサイズ感ですがやはり欧米のブランドなので、普段着ているサイズの1つ下を選ぶと良いと思います。ちなみに自分(168cm・60kg)の場合、ボトムはXSサイズ、トップス(インサレーションおよびソフトシェル)はSサイズで基本的に良い感じです。
しかしシェルジャケットは一筋縄ではいきません。レイヤリングを考慮してやや大きめにサイジングされているのか、Sサイズを選んでもかなりダボ付きます。XSサイズが展開されているシェルジャケットで妥協せざるを得ないことも多々あり、レイヤリングとサイズ感の両立には未だ苦心中です。
それでもやっぱりアークのウェアで全身を包んでみたいと思う位には、魅力的な製品が揃っているのだと思います。
ではまた。