日常生活では満たされにくい承認欲求やら自己顕示欲が、SNSなどで割と簡単に満たされるようになった昨今。登山記録をYAMAPだったりヤマレコに投稿すれば、「いいね!」が簡単に手に入ります。
やはり「いいね!」がつくと何気に嬉しかったりします。
それはさておき、自分もここ最近やっとこさTwitterを始めたわけですが、時折「日帰り」と称した山行記録がブログだったり各種山行サイトに投稿されているのを見かけます。
自分がフォローしているフォロワーが「いいね!」しました。とやらで目にする事が多いのですが、そろそろ気になるというか・・。どうしても看過できないのです。
そもそも日帰り登山の定義って?
近所の低山や北・南アルプスの前衛峰などロープウェイを利用したりで
午前中に登り始めて日没前には下山できる。
これが日帰り登山の定義だと思うのです。北アルプスや南アルプスではどうしてもその山深さもあり、日帰り登山ができる山はかなり限定されます。
北アルプスであれば燕岳だったり焼岳、南アルプスだと鳳凰三山や仙丈ケ岳が有名でしょうか。
ところがどっこい蔓延る「ヒガエリ」登山
決して日帰り登山を否定しているわけではありません。僕が気になるのはこの「ヒガエリ」登山。
日付が変わり日の出前に登り始めたり、下山が日没後になっている山行です。登山経験が相当にない限り、辺りが暗いうちにヘッドランプを頼りに登山をするというのはそれなりのリスクが伴います。
大体こういった「ヒガエリ」登山を強行するのはソロハイカーです。まともなグループであればきっと何らかの抑止力が生じるはずです。ソロハイカーの躊躇いのない無責任が行動が、山岳遭難増加の一因だと思っています。ビビりすぎるくらいが、臆病すぎるくらいが、登山にはちょうどいいと思うのです。
その他時刻的に周囲に他の登山者がいないので、何かあった時に発見が遅れたり、日没後にテント場近くを通過するので他の登山者が迷惑を被ることになります。とりあえず褒められたものではないことが、お分かりかと思います。
その「ヒガエリ」山行記録を見てただ「早いですねーすごい!」とかいうハイカーは正直一度頭を冷やした方が賢明です。
勿論登山では「早さ」も重要
登山の行程時間を加味せず純粋な「早さ」のみで考えるのであれば、これらの「ヒガエリ」登山は安全かもしれません。
登山中天気の変化が著しい山の上では、荒天時などは特に行程時間が短い事が安全性に直結することがあります。それに加えて、山に長時間いること自体が、落石だったり滑落に遭遇する確率を高めていると思うのです。もしかしたら休憩している最中に
頭上から落石が!
なんて可能性が、登山中は無きにしも非ずなわけです。(休憩場所の確認を)
こういった可能性を考えると、行程時間が短い「ヒガエリ」登山は一般的な登山に比べると「早さ」の観点から言えば安全とも言える気がします。
問題なのは、それを「何気なく」共有すること
これらの「ヒガエリ」登山をSNSなどで共有すること自体は、決して悪い事ではないと思いません。
中々休みの取りにくい日本の労働環境がある以上、むしろこういった登山のカタチを示してくれることはある種嬉しいことです。
日帰り登山は普段から気軽に山に出かけられる環境というか、日々の暮らしの延長線上に登山があるんだと気づかせてくれます。どうしても山って遠い分日数が必要になる分、非日常的な感覚に陥りがちです。
しかしこれらを気軽に共有するのは、危ない。というか気軽に参考にできるものではないです。情報が手軽に手に入る昨今では、何かの間違いで
「自分もこの日程で登山に行こう!」
「日帰りで槍ヶ岳ピストン行こう!」
なんて考える登山初心者が現れるやもしれません。登山初心者まで行かなくても、どうしても時間が確保できない方が参考にするかもしれません。
結果として、毎年問題になっている山岳遭難の一助となる可能性が捨てきれない以上、こういった「ヒガエリ」登山の記録を共有している方々には、改めて
自分がどういった記録を共有しようとしているのか。
この山行スケジュールは果たして万人でも安全だろうか。
という事も懸念材料に入れて頂きたいものです。
誰もがネットリテラシーが高いわけではありません。その事も念頭に、SNSという場で情報を発信しているという意識を持ち、せめて但し書きをする程度のひと手間は行ってもらいたいなぁと思うこの頃なのです。
まとめ
まぁSNSなんてどう使おうが個人の自由だろうと、自分自身思ったりもするのですが・・。
山岳遭難が増加の一途を辿っている現状を考えると、手放しでこういった登山を気軽に共有しているのは、流石に間違っていると感じていたのでこの際書いてみた次第です。
SNS全般に言えることですが、しょーもないことで「いいね!」稼ぎに費やす熱量をどうぞ別の事に使ってくださいな。と思わざるを得ない今日この頃です。
最後まで読んでいただきありがとうございました!