2018年夏。薬師岳から雲ノ平、鷲羽岳を越えて槍ヶ岳までテント泊で縦走してきました。
今回は三俣山荘から三俣蓮華岳・双六岳を経て目的地である槍ヶ岳、そして下山までの後編の記録となります。前編は以下をどうぞ。
早速山行記録の続きから参ります。
山行記録
無事にたどり着いた三俣山荘。
三俣山荘と言えば有名なジビエシチューを楽しみに、そして情熱大陸で目にした風景が目の前にあるということで、鷲羽岳から三俣山荘までの足取りは軽かったです。
早出早着の文化からすると少々遅いのでしょうが、ようやく三俣山荘へ到着。この縦走の日程で最長の行動が無事に終了したため、安堵感でいっぱいでした。
三俣山荘は情熱大陸で拝見する前からジビエシチューを食べてみたいと、兼ねてから計画していました。テレビで見た印象とは違い、賑やかな印象を抱きました。百聞は何とやらですね。
三俣山荘からテント場までは、三俣蓮華岳方面へ5分程度歩いたところにあります。
自分と同じ薬師岳方面や新穂高方面等、様々な方面からの登山者で、直近のテント場はほぼ埋まっていました。
ひとまずテントを張り終え、この日ずっと見えていた槍ヶ岳を再見。
どこから見ても槍ヶ岳は槍ヶ岳ってますよねぇ。ホント。
待ちに待ったジビエシチュー。ジビエ料理にありがちな獣臭さもあまりなく美味しかったです。是非ともご飯ではなくパンでも食べたい逸品でした。基本的に登山ではフリーズドライやインスタント食品なので、こういった食事はいつにも増して身に沁みます。
夕焼けに染まる鷲羽岳と槍ヶ岳。きっと明日もいい天気になるんだろうなぁと、楽しみにさせてくれる姿でした。縦走も明日からは後半戦。特に明日は西鎌尾根を経て、目標に据えていた槍ヶ岳登頂が控えています。無事にたどり着けるのか・・。西鎌尾根の終盤を思い不安でしたが、とりあえず休むことに。
そして長い夜へ。昨日の雨の影響のせいかこの夜は急激に冷え込み、幕内の結露は凍っていました。えぇ、気温は氷点下でした。
今回の縦走では、軽量化のためにモンベルのダウンブランケットだけにしようかと迷っていましたが、最後の最後でSOLのヴィヴィを持ってきたことが幸いしました。とりあえず寒さに凍えることなく休めました。しかし山で熟睡したためしがない・・。
夜明け。西鎌尾根を経て槍ヶ岳へ向かう。
そして迎えた夜明け。夜明けは可能な限り山頂で向かいたいというのが人の性。三俣山荘で宿泊していた方のほとんどは鷲羽岳へ向かっていたため、三俣蓮華岳の山頂は3名ほどしかいませんでした。
綺麗に焼けた双六岳、槍ヶ岳をはじめ穂高連峰に伸びる西鎌尾根。山で見る夜明けは本当に美しいと思うのです。
三俣蓮華岳から双六岳へ向かうまでの登山道は2つあり、巻道ルートか稜線ルートか。こんな良い天気に恵まれていたので、勿論稜線ルートを選択しました。
どうやら選択したルートは間違っていなかったようで、この縦走中2羽目のライチョウに遭遇。かわゆい。山のアイドル。
約一年ぶりの双六岳山頂へ到着しました。昨年とは違う、緑に包まれた山々がこれまた美しい。今まで辿ってきた稜線とこれから辿る稜線を見渡すと、この縦走も終わりに近づいているのだと実感させられます。
もっとどっぷり山々を繋ぎたいものです。
双六岳でよく見るいつものショット。
双六岳山頂から双六小屋まではおおよそ1時間程度の道のり。稜線が終わってからは、大きな岩が連続する登山道になります。
天気に恵まれたこともあり、この日の双六岳テント場は大盛況のようでした。北アルプスの夏山シーズンはどこも大盛況ですねぇ。これからの紅葉シーズンが恐ろしや。折角都会の喧騒を離れ、山に来ているのに、またもや混雑に悩まされるというのも皮肉だな。なんて思います。
本日の正念場である西鎌尾根。この縦走中、最も滑落する可能性がある地点です。昨年に比べると遥かに登山の回数が増えてはいましたが、やはり不安なものは不安。
双六小屋で小一時間まったり休憩した後出発しました。
西鎌尾根冒頭は歩きやすい尾根歩き。歩きやすいとはいえ右、もしくは左側は谷底なのでそれなりに気を使います。
シャッターを押す手が止まらない。(笑)
写真を撮りながら呼吸を整え登るのが、自分の登山スタイルとして確立しつつあります。
ソロ登山だと、どうしたってこうならざるを得ない。
グループの場合ってやはりおしゃべりしながら登るんでしょうか?
西鎌尾根の中盤以降はこのように、切れ落ちた道が時折出現します。見えない壁なんぞありませんからご注意を。そしてクサリ場も3つほど。3点支持を意識してテンポよく。
千丈乗越を越えてからは無限九十九折地獄。槍ヶ岳の肩までひたすら九十九折の道がこれでもかというほど長い間続きます。それなりの傾斜があるのでとりあえずしんどかったことしか覚えていません。何度見上げた事か・・(笑)
無事に槍ヶ岳へ。殺生ヒュッテで過ごした縦走最後の夜。
槍ヶ岳も近くで見ると、やはりそこまで槍ヶ岳ってないんですよねぇ。(笑)
やっとの思いで槍ヶ岳の肩に到着です。しばし槍ヶ岳山荘で休憩しました。薬師岳山荘の時からこの縦走についていくつかの懸念材料について考えていたのですが、1番気になっていたのは槍ヶ岳の混雑具合。
是非ともクリックして拡大してみてください。
案の定人人人。槍ヶ岳登頂を見送ろうかと思えるほどに渋滞をなしていました。人がほにゃららのようだですね。
バルス!!と唱えてみたくなります。槍ヶ岳の穂先だけ浮遊しないでしょうか。実はロケットだったりして。
閑話休題。
そんな世迷言を思いながら、時折槍ヶ岳の高度感に震えながら、やってきました槍ヶ岳山頂。
飛騨方面は雲が湧いていましたが、これもまた趣でしょう。
縦走も終盤になり、宿泊したことのない殺生ヒュッテで最後の宿泊をすることにしました。
殺生ヒュッテに到着後、テントを張りしばらくまったり過ごしました。
お隣のテントの方から、豆から挽きその場で焙煎したコーヒーを頂きました。とても美味しく頂きました。山で飲む物、食べるものはどうしてこうもうまいのか。
そして山での過ごし方は十人十色。自分もたまにはこういった素敵な楽しみ方をしてみたいと思います。
テント場から見える様々な風景を楽しみながら、最後の夜を過ごします。今まであったことや感じた事を思い出し、明日には上高地へ下山していることを考えると、どこか寂しい気持ちに苛まれたり。
夜は更けていきました。
最終日。人で賑わう上高地へ下山。
昨晩ほどの冷え込みもなく、快適な夜でした。遠くで顔をのぞかせる富士山に、おはようとかましながら縦走最後の朝焼けの時間に浸り下山開始です。
朝焼けは赤から黄蘗色(きはだいろ)へ。天狗原などは逆さ槍と合わせて訪れてみたい土地でもあります。
徐々にすれ違う人のスパンが短くなり、旅の終わりが近づいていることを実感していました。
そしていつもの横尾・徳澤を辿ります。ここまで来ると縦走もほぼほぼ終わりです。にしたって徳澤のソフトクリームは美味しいですねぇ。(笑)
そして3泊4日の縦走のゴール地点である上高地へ到着したのでした。着いてしまうと呆気ないもので、迫りくる日常も案外すんなりと受け入れられました。(笑)
お風呂に入り、お腹を満たし、しばし帰りのバスまでの時間。今回の縦走の思い出に浸りました。
最後に
3泊4日に及んだ縦走は、これにて終了。
初日こそ雨に降られましたが残りは全て快晴。申し分のない、自分にとって今までの登山で一番の思い出になりました。
それに今回の縦走で学んだことは幾つかあり、改めて備忘録として書き出してみたいと思います。そして行きたい山が更に増えてしまいどうにも悩ましい日々を過ごしております・・。幸せなことです。
今こうしている間にも自分がいたあの場所に見知らぬ誰かがいるというのは、どこか不思議な気がします。なんでしょうねこの感覚って。(笑)
最後まで読んでいただきありがとうございました!