日本一の紅葉として名高い涸沢の紅葉。上高地から徒歩6時間前後かかる、まさしく知られざる秘境の一つです。秘境といっても最近のSNSの普及に伴い、日本各地の秘境とされていた場所は「SNS映え」する場所として知られ、マナーもクソもないカメラマンやら旅行者が訪れる土地となりました。
初夏の残雪と新緑に染まる爽やかな涸沢から、紅葉に染まる錦の涸沢まで。行く時期によって様々な風景を楽しむことができる涸沢はまさに山岳リゾート。
涸沢ヒュッテや涸沢小屋の寝心地はともかく。
今回涸沢から上高地への下山に選んだパノラマコースが文字通り大展望でした。そんなパノラマコースへ是非とも行ってみてほしいというお話です。
涸沢からは難路が続くパノラマコース
涸沢へ至る最もポピュラーなルートは、上高地から横尾を経て涸沢に至るルート。それとは別に、徳沢から新村橋を渡り涸沢へ至るルートがあります。これがパノラマコース。
涸沢から新村橋を経由し、徳沢までのコースタイムは概ね3時間30分〜4時間30分程度です。
パノラマコースは立地上7月中旬頃まで残雪が多く、その年の天候によっては残雪が溶け切らないままになることもあるそうです。
涸沢から屏風のコルに至るまでの道程。目の前に前穂高岳の北尾根が見えるようになり、目指す徳沢方面への展望が開けるまでがパノラマコースの核心部といっても過言ではなく、細い登山道のアップダウンやトラバースが連続する悪路です。パノラマコースの状況については涸沢ヒュッテや涸沢小屋のHPに情報があります。ご通行の際は一度確認することをオススメします。
滑落事故が多発しているコースであり、登山初心者が迂闊に通って良い道ではありません。本谷側への傾斜がとにかく急です。かつ登山道が狭いことも相まって、すれ違いはできる限り避けたい箇所が多いです。
屏風のコルを経てからは遠くに蝶ヶ岳を眺めながら眼下に広がる梓川に向けてグングン標高を下げていくようになります。屏風の頭方面への分岐があるので、ここで重たいザックをデポし屏風の耳を目指すと穂高連峰から槍ヶ岳、常念山脈の展望が一気に開けます。片道30分程度なので余裕があれば是非屏風の耳まで行くことをおすすめします。
屏風のコルを過ぎてから、夏場であれば花畑が広がるであろう斜面の下りが始まります。草紅葉に染まった斜面に太陽が反射して良い雰囲気でした・・。所々アップダウンがあったり岩場がありますが、屏風のコルまでの登山道の状況に比べると易しいです。ダケカンバの林を越えて白い岩がゴロゴロしている沢を何回か横断します。
今回通った時期にも依るのでしょうが、どの沢も水は枯れていました。徳沢からパノラマコースを通って涸沢を目指す方で、奥又白谷出合などで水分補給をしようと考えていると痛い目を見るかもしれません。
沢を越えてからはひたすら長い樹林帯の下りと平坦な登山道が続きます。奥又白谷から前穂高岳北尾根を目指す方以外、パノラマコース自体はおそらく紅葉の時期に涸沢を目指す人くらいしか通りません。とにかく静かな山歩きでした。
森のくまさん。
僕の場合途中で5分程度の休憩や屏風の耳へ行ったのも合わせ、涸沢から徳沢までは3時間40分程度でした。パノラマコースは涸沢までのアプローチに使うには少しきついような気がします。笑
最後に。紅葉の涸沢へ行こうよう。
これが言いたいだけかもしれません。
2019年の紅葉は残暑のおかげで色づきが遅く、真っ赤に染まる紅葉を見ることは叶いませんでした。真っ赤に染まっていなくとも、黄葉に染まり始めた涸沢もまた乙なもの。
涸沢までのアプローチは横尾から行っていただくとして、涸沢の帰りの際には一度穂高の大展望が待つパノラマコースのことを一度考えてみてください。
最後まで読んでいただきありがとうございました!