今回は無事に緊急事態宣言も延長されたことですし(5月末・・)、登山に持っていくファーストエイドキットを見直しました。
登山で出会う緊急事態に備える。
個人的に、登山での緊急事態の場面は大きく分けて2つあると思っています。
靴ずれや擦過傷、骨折、虫刺され、熱中症などの身体的な緊急事態。そしてポールの損傷や登山靴のソール剥がれ、フライシートの損傷などの道具的な緊急事態。
どちらの緊急事態も起こらないに越したことはないのですが、そこは大自然に飛び込んで遊ぶ山登り。何かが起きてしまう可能性は、やはり看過できません。
今までは「まぁこのくらいあれば・・。」と大雑把に準備していましたが、やはり備えあれば患いなし。
結婚も控えていますし「若さにすべてを委ね、リスクを考えずに登山するというのもダメだよね。」となりました。
ソロ登山であれば、一層リスクヘッジに重きを置くべきかと。
というわけで、ファーストエイドキットのブラッシュアップを敢行です。
身体的な緊急事態に備えて−捻挫・外傷・虫刺されなど−
ファーストエイドキットといえば、捻挫や擦り傷、骨折などの怪我に対する応急処置に用います。少なすぎても、多すぎてもいけません。やはり身体的な重量・物量的に大多数を締めます。
滅菌ガーゼ/テープ/包帯 | ポイズンリムーバー |
携帯トイレ/ポケットティッシュ | 常備薬(解熱鎮痛剤・胃薬)/目薬 |
アルコール綿/マスク | 防水フィルム材/テーピング |
ハイドロコロイド系の被覆材(2種類) | ステロイド配合のかゆみ止め |
上記はファーストエイドキットの中でも、身体的な問題に対する装備の一覧です。基本的なセットに加えて、排泄問題やコロナ禍を考慮したものを追加しています。
滅菌ガーゼ/テープ/包帯
切り傷や擦り傷の止血、創部の清潔保持・保護のために使います。
ガーゼの大きさは様々で、個々人で必要だと思う大きさを持っていくと良いと思います。中にはテープと一体型になったものもあり、使いやすいのが嬉しいです。
ただしファーストエイドキットであることを考えると、そこまで大きいものは不要。大きな傷であれば素直に下山するか、救助を要請してください。
またガーゼの保護にはテープや包帯での固定が必要になります。特に負傷しやすい膝や肘などの関節部位の傷の場合は包帯での保護を推奨します。
なおテープ・包帯に関しては1ロール持っていくのではなく、切り分けて持っていくことで多少の軽量化が可能になります。
ポイズンリムーバー
登山で遭遇する数多の害虫や蛇たちは時折、地肌に熱烈なキッスをかましてきます。
とんだありがた迷惑です。虫に刺されたら(蛇に噛まれたら)速やかに(2分以内)ポイズンリムーバーを使用することで、その後の痒みや痛み・腫れを軽減することができるらしいです。
正直虫刺されに関しては、虫除けスプレーや長袖のウェアを着用するなどの準備である程度予防できます。
蛇の咬傷に関してはポイズンリムーバーを使用し軽く体幹側を縛った上で、下山を考えたほうが安全です。
携帯トイレ/ポケットティッシュ
生物の最下層の欲求を満たすための大事なアイテム。縦走など、1日あたりの行程が長い場合には特に重要なアイテムです。
山小屋やテント内、そして山のトイレでの有事(想像に任せます)に必須なポケットティッシュは水に流せるタイプをチョイス。
紙がなくて神頼み。なんて事態に陥ると、色々と大事なものを山に置いていくことになります。
ということでティッシュに関してはファーストエイドキットの他にも忍ばせています・・。
常備薬(解熱鎮痛剤や胃薬など)
このあたりは普段使っている鎮痛剤や胃薬を入れています。用法・用量を守って正しく服用してください。
また稜線での風で眼球が乾きやすかったり、猛烈な痒みに襲われることがあるので、かゆみ止め成分を配合した目薬も常備するようになりました。
爽快感があるものだと眠気覚ましやリフレッシュもできおすすめです。
アルコール綿/マスク
アルコール綿に関しては洗うでもない些細な切り傷の周りに使ったりします。
とはいえアルコールは傷にしみますし、傷はとにかく水で洗うことが大事なので使い所が難しく、持っていくか悩みましたがとりあえず3枚ほど。マスクは言わずもがな。
ハイドロコロイド系の被覆材(2種類)
止血できた傷に関しては、傷を流水で入念に洗ってからハイドロコロイド系の被覆材で保護します。有名所だとキズパワーパッドですね。多少値が張りますが、それだけの効果があるかと思います。
また多少のクッション性があるものが多く、靴ずれに対しても絆創膏ではなく小さめのハイドロコロイドを使うと良いかもしれません。
オススメは剥がしやすく貼りやすい、そしてクッション性があるエスアイエイドです。
ステロイド配合のかゆみ止め
虫刺され後のかゆみ止めに使用します。
傷に直接塗るタイプの軟膏(化膿止めや鎮痛)に関しては単回使用で無ければ不潔な気がしているので持っていきません。
防水フィルム剤/テーピング
防水フィルムは雨天時や温泉入浴時の傷の保護に使います。色々種類があるのですが、肌に優しく透湿率の高いものを切り取って持っていっています。
テーピングに関しては膝痛予防や捻挫予防、そして捻挫後の保護のために必須。ただのテープですが、あるのと無いのとではホールド感が段違い。
登山にロールごと持っていくのも重いので、予めカットされているものを持っていくようにしています。
三角巾(手ぬぐいで代用)
骨折部位の固定や頭部の保護などに用いる三角巾。
言ってしまえばただの大きな白い布です。手ぬぐいで代用できることも多いので、自分は持っていっていません。
因みに添え木としても使うことができる、トレッキングポールは携行するようにしています。
道具的な緊急事態に備えて−細引きやダクトテープなど−
ありそうでなさそうな、けれどもいつかは訪れる、登山靴やバックパックの破損に備えての準備物品です。
このあたりは正直最悪無くてもどうにかなるので、説明はしません。エアマットを持っていくか否かである程度取捨選択ができますね。
10徳ナイフはたくさんあるんですね・・。
自分は10徳のものを買いましたが、この際20徳ナイフを買っておけば良かったのでは?と少し後悔しています。
細引き | 靴とソールの補強やガイラインの予備。1本あると便利。 |
安全ピン・ダクトテープ | バックパックの破れなどの応急処置に。ピンは念の為に2本。 ダクトテープはテントの破損にも有効。 |
エアマットの修理ツール | エアマットの破損に。 |
10徳ナイフ | 緊急時に役立つツールの代名詞。 |
ファーストエイドキットの携行方法。防水性・有用性・軽量化の狭間で。
続きましてはファーストエイドキットの携行方法です。
このあたりも人によって様々でしょう。
ジップロック | 軽量かつ防水。ザックのどこに忍ばせるかが悩ましい。 |
ファーストエイドキット専用スタッフバッグ | 防水だが重量増。生地が丈夫で誰が見てもそれだと分かる。 |
自分の場合、以前はジップロックよりも厚手の素材の袋に用いれて管理していました。
ただ緊急時は動揺が見え隠れして、肝心のファーストエイドキットがどこにあるのか分からない。なんて事態に陥っては元も子もない。と思い、これを機にseatosummitのファーストエイドキット用スタッフバッグを導入。
ファーストエイドキットを入れるケースに関しては防水性の無いものもありますが、緊急時のことを考えるのであれば防水性の確保は重要。各自ドライバッグに入れるなどの工夫が必要です。
また汚染や水濡れ・吸湿の予防や、使いやすさのために、ある程度種類ごとに小分けにしています。これには100円均一や無印のパウチのアソートメントパックが便利なので是非。
使えるものを必要な分だけ。
登山で遭遇する緊急事態に備えた、ファーストエイドキットのブラッシュアップ。今まで有耶無耶にしていた緊急時の装備を整えていくのは、ゲームみたいで楽しかったです。
ファーストエイドキットは登山前からの準備・登山時の携行が大事ですが、何より大事なことは、実際にエマージェンシーツールを有効に活用できることです。
膝痛予防に持っていったはずのテーピングも、張り方が分からなければ、ただのテープ。
傷の出血を抑え、汚染を防ぐための滅菌ガーゼも正しく使えなければ、ただの白い布。
道具を活かすも殺すも、自分次第。
登山で出会う頻度が多い怪我や捻挫などの対応方法は、一通り覚えておくのが吉かと思います。
また、有事に備えてあれもこれも持っていくと、結果として荷物が重くなったり、どこに何があるかわからない状況に陥る可能性があります。
緊急事態に対処できるものを、必要な分だけ持っていくことが大事かなと。まぁ自分の場合は職業柄少し多めに持っていっています。
ではまた。