登山やキャンプにおいて、食事や暖を取るための登山用バーナー(ストーブ)は重要な装備の一つ。
特に1泊以上の登山やキャンプでは、簡単にお湯を沸かせる携帯コンロが必要不可欠(軽量化を求める方々はこれらの火器を持ち歩かない傾向もあるそう・・)。
登山用バーナー(ストーブ)には、主に固形燃料ストーブ、アルコールストーブ、ガスバーナーの3種類があり、それぞれに特徴や、メリット・デメリットがあります。
今回は登山で上記3種類の登山用バーナーを実際に使ってみた上で、メリットやデメリットをまとめてみました。
個人的に初心者にオススメなのはガスバーナー、軽量化を目指している方には固形燃料がオススメです!
圧倒的にシンプルで軽量な固形燃料ストーブ
固形燃料ストーブは、燃焼する固形のブロック状の燃料(エスビット、ジェルタイプの燃料などなど)を使用して、調理やお湯を沸かすための器具です。
個人的な話になりますが、登山中の食事をフリーズドライだけで済ませる時、最近は火力の安定する固形燃料を使っています。
主な特徴
- シンプルでコンパクト: 固形燃料ストーブは非常にシンプルな構造をしていて、折りたたみ可能なタイプや非常に軽量な製品が多いです。
シンプルが故、登山やキャンプ中の故障のリスク軽減に繋がります。
- 扱いやすい: 扱う固形燃料にも依りますが点火が容易で、マッチやライターで簡単に火が付きます。
また、固形燃料1つでどれ位の水の量を沸かすことができるかをある程度把握することで、計画的に使用することができます。
- 軽量性: 固形燃料は軽く、ストーブ自体も非常に軽量。特に登山中の食事をフリーズドライだけにしている方や、軽量志向の方に適しています。
- 風に強い: 固形燃料はアルコールストーブに比べ風の影響を受けにくく、風防がなくてもある程度の火力を保てます。これにより、風が強い環境でもある程度の調理が可能です。
メリット
- 持ち運びが便利: 固形燃料ストーブは小さく折りたたむことができ、軽量なので携帯性が高いです。また、燃料も一つの固形ブロックが完結しており、燃料漏れやパッキング時の圧力変動を気にする必要がありません。
- 安全性が高い: 燃料が固形であるため、液体燃料やガスのように漏れる危険がなく、燃え広がるリスクも少ないです。登山初心者や、子供がいるグループキャンプでも安心して使用できます。
デメリット
- 火力が弱い: 固形燃料の最大の欠点は火力が弱い点。
燃焼温度が他の燃料に比べて低く、長時間の調理には向きません。特に水を大量に沸かす場合や、寒冷地での使用には時間がかかることがあります。
- ススでクッカーが汚れる:使用する固形燃料にもよりますが、ものによってはクッカーに煤がついて汚れる事があります。特に固形燃料でも代表的なエスビットは必ず煤がつくので要注意。
個人的には煤で汚れているクッカーの使用感が好きなので、特に気になりません。
- 調整が難しい: 一度点火すると火力の調整ができないため、基本的に繊細な調理には向きません。人によっては事が済んだら口で吹き消すこともあるようですが、あまりオススメできません。
持って行く固形燃料1つで、どのくらいの水を沸かすことができるかを把握する必要があります。
玄人向けで趣深いアルコールストーブ
アルコールストーブは、液体のアルコールを燃料として使用するストーブ。
理科で使ったアルコールランプとは、また違います。アルコールランプを使ったカルメ焼きはきっと、全国民が通ったであろう理科でのおやつ。
エタノールやメタノール、または専用のアルコール燃料を使用することが一般的です。
主な特徴
- 軽量でコンパクト: アルコールストーブは非常に軽量で、シンプルなデザインのものが多いです。特に、アルミ缶を使用した自作アルコールストーブも人気で、簡単に携帯できるのが特徴です。
- 燃料の入手が容易: アルコール燃料は固形燃料やガスボンベに比べ、入手しやすく、アウトドアショップだけでなく、ドラッグストアなどでも購入できます。
- 無音燃焼: アルコールストーブはほぼ無音で燃焼するため、静かな環境でのキャンプや山でのひとときに最適。燃焼中の音が少ないため、誰に迷惑をかけることなく、自然の音を楽しむことができます。
メリット
- 軽量で携帯性が高い: アルコールストーブは非常に軽く、登山やソロキャンプに適しています。また、燃料を小分けにして持ち運ぶことができるため、登山やキャンプに必要な分だけ携帯することが可能です。
- 自作が可能: アルコールストーブは構造が簡単で、自分で作ることができるため、コストを抑えることができます。自作ストーブは、登山愛好家や軽量化を求める人々に人気です。
デメリット
- 火力が安定しない: アルコールストーブの火力は、気温や風などの外部条件に大きく影響されます。特に寒冷地では火力が落ちやすく、特に冬の登山には不向きです。
- 燃焼時間が短い: アルコールストーブは燃料をすぐに消費してしまいがちで、長時間の調理や連続使用には向いていません。頻繁に燃料を追加する必要があり、固形燃料やガスバーナーと比べると安定感に欠けます。
何だかんだで一番使いやすいのはガスバーナー
ガスバーナーは、登山やキャンプで最も一般的に使用されるストーブで、携帯用のガス缶(プロパンやブタンの混合ガス)を燃料として使用します。
燃焼効率が高く、さまざまなシーンで活躍。登山初心者にオススメのストーブ。
主な特徴
- 強力な火力: 基本的にガスバーナーは先述の2つのバーナーに比べ強力な火力を持っており、水を早く沸かすことや、寒冷地での使用にも適しています。寒冷地対応の専用ガスを使用すれば、低温環境でも安定して燃焼します。
- 火力調整が可能: ガスバーナーは火力の調整が可能で、微妙な火加減が必要な調理にも対応できます。炒め物や煮込み料理など、幅広い料理が可能です。
- 汎用性の高さ: ガスバーナーは、風防やゴトクの追加、専用の調理器具など、さまざまなアクセサリーが用意されており、湯沸かしだけでなく、炒め物やとろ火での煮込みなど、幅広い用途に対応できます。
メリット
- 火力が安定している: ガスバーナーは安定した火力を持ち、風や温度の影響を受けにくいです。特に寒冷地では、専用の冬用ガス缶を使用すれば安定した燃焼が可能です。
- 便利で使いやすい: ガスバーナーは点火も消火もワンタッチで行えるため、初心者にも扱いやすいです。特にガス缶は交換が容易で、調理中に燃料切れが起こってもすぐに交換可能です。
- 携帯性も良い: ガスバーナー本体は軽量かつコンパクトなものが多く、携行しやすいです。ガス缶も軽量で、小型のものから大容量のものまでさまざまなサイズがあります。
デメリット
- ガス缶の重さとサイズ: ガス缶自体は比較的軽量ですが、長期の登山や寒冷地では多めの燃料を持つ必要があり、燃料を使い切ったとて、ガス缶分の重さが残ります(100g程度)。
- 寒冷地での使用: 通常のガス缶は低温環境では気化しにくく、火力は低下します。寒冷地用のガス缶を使用するか、温めて使用する必要があります。
- トラブルのリスクがある:固形燃料、アルコールストーブに比べると故障のリスクが高く、場合によっては点火できない可能性もあります。
登山用のストーブまとめ
それぞれの火器には長所と短所があり個々人の登山やキャンプのスタイル、経験に応じて選ぶべきです。
ただ、初めて買うストーブとしてオススメなのは、汎用性の高いガスバーナーです。
今までのストーブの特徴をざっとまとめると
固形燃料ストーブは軽量で簡単な操作が魅力ですが、火力が弱く、調理には不向き。
アルコールストーブは軽量でシンプルですが、火力や燃焼時間に難があり。玄人向け。
ガスバーナーは安定した火力と性能が魅力だけれど、ガス缶の携行が必要で、固形燃料やアルコールストーブと比べると嵩張る。寒冷地では専用のガス缶を使用する必要がある。
でしょうか。
登山やキャンプにおける、登山用バーナー選びの一助になると幸甚です。
ではでは。